| 1980年より大学院修士課程において風力発電の需要家への導入方法に関する研究に従事。風速の発現頻度分布と風車特性から,統計的手法により所望の効果が期待できる風力発電システムを導く手法に一定の成果を得る。 就職後は太陽光発電を研究対象に加え,需要家における風力・太陽ハイブリッドシステムの構成・運用方法について,主としてエネルギーバランスの上から研究。風力と太陽エネルギーの比率に応じて電力供給性能が変化し,需要に最適の風・太陽比率があることを明らかにした。 その一方で,風力発電装置の物理モデルに基づく動特性解析についても研究,当時しばしば用いられていた上方偏向式風車の運動方程式を導き,ジャイロ性により風向制御と速度制御とが干渉するおそれがあること,及び効果的な速度制御のあり方についての知見を得た。 1989年静岡大学着任後は,以上のようなテーマに加えて,分散電源の電力系統への影響について研究をすすめている。とりわけ,離島など小規模電力系統では,太陽光・風力発電のような不規則発電の影響が大きいことから,小規模模擬実験装置を用いた実験,及びモデル計算により,電圧・周波数変動の把握やその軽減対策について一定の成果が得られてきている。 更にこのころから,他大学との共同研究で日射量・風速予測を取り上げている。太陽・風力エネルギー利用の発電・給湯システムにおいて,このような予測を含めた運用法を考案することにより,余剰の抑制や損失低減など,設備・エネルギー利用率向上に役立てられることが判明した。 また運用の分野では,太陽・風力など不規則エネルギーと蓄電池や蓄熱槽などエネルギー貯蔵装置との関係で,動的計画法を用いた運用評価手法を開発した。動的計画法では経済運用の限界が与えられることから,現実の運用法の優劣評価に用いることができる。 電源構成の分野では,主として共同研究により,数理計画法を用いた将来の電源構成のあり方について研究し,エネルギーコストや二酸化炭素排出量の立場からあるべき姿を提案している。また,炭素税の影響についても,評価を試みている。 最近ではこれらの研究から得られた経験を総合し,電力系統の随所に取り付けて系統特性を改善する小形エネルギー貯蔵装置の構成や運用,及びその効果について研究をすすめている。また,風力発電の原動力となる風の空間構造を明らかにし,風車群の制御や出力変動の抑制などへの展開を模索している。更に,風車ロータを積極的に可変速運転してエネルギーの貯蔵放出を試み,系統への影響軽減をはかる可能性を指摘している。 これらとは一線を隔するものとして,明治時代前後の電気・機械装置の発展についても興味をもっており,昔の技術書や事業史など,関係文献約350冊を収集した。主な機器を再現し,現在の手法でその性能評価を考えている。 |